スパイス・ハーブの薬膳効果 コリアンダー編

最も愛用されているスパイス コリアンダー

ハーブとスパイスの両方で料理人の役に立つ植物は数種類ありますが、その中でもコリアンダーは最も幅広く愛用されています。
葉はパクチーというほうがなじみ深いかもしれませんね。
スパイス作物として、原産の西アジアや地中海地域だけでなく、東ヨーロッパやインド、アメリカ、中央アメリカでも栽培されています。

コリアンダーの歴史

古代エジプトでは薬として利用されており、古代ギリシャでは、トウモロコシのパンなどに焼きこまれたと言われています。16世紀にスペインによって南米に伝えられ定着し、現在ではペルーやメキシコでは料理に欠かせない食材となりました。
南米のほかにもインド、中国でも古くから薬用・食用で用いられてきました。
日本には平安時代に中国から伝えられていましたが、香りが強すぎたためか、獣肉食をしなかったからか、あまり必要とされず定着しなっかたようです。江戸時代の本には薬用としての記載があります。

コリアンダーの薬膳効果

コリアンダーにはたくさんの薬膳効果がありますのでいくつかご紹介していきます。
疲労回復
コリアンダーには疲労回復を促すビタミンB1とカリウムが含まれています。ビタミンB1は、糖質の代謝を助けエネルギーを作り出し疲労回復に役立ちます。またカリウムも疲労回復や利尿作用に効果が期待できます。
殺菌効果
葉の部分は、サルモネラ菌の治療に使われる最も一般的な抗生物質(ゲンタマイシン)と同じくらい効果があるそうです。研究によると、香り成分であるドデセナールに含まれる精油成分には、サルモネラ菌の働きを弱め、破壊する働きがあることが解っています。
健胃・整腸作用
種子の部分に期待される一番の薬膳効果は、健胃と整腸作用です。胃痛や胃もたれ、便秘や下痢などを緩和させるとして古くから用いられてきました。食べ過ぎた時や脂っこいものを食べたときなどに摂取するのがおすすめです。

種子の部分と葉の部分。それぞれにメリットがたくさんあるコリアンダーですが、デメリットもあります。
鎮静薬と同時に摂取すると、強い眠気を生じる場合があります。また、血糖値を下がる効果もあるので糖尿病治療薬との併用もお気をつけください。さらに、血圧を下げる効果もありますので降圧薬との併用にも注意が必要です。

コリアンダーの調理方法・保存方法etc.

香りがマイルドなので、料理人は他のスパイスとよりもずっと多くの量を使います。カレーパウダーやマサラの基礎を形成するのに役立っています。
アフリカや中東のミックススパイスにも大抵含まれています。ヨーロッパやアメリカではピクルスのスパイスとして活用され甘酸っぱいピクルスやチャツネに心地よいマイルドな香りを与えています。

コリアンダーは種子も葉も容易に手に入ります。葉はすぐ傷んでしまいますが、種子は挽いてしまうと急速に香りが無くなってしまいますので、丸のままお買い求めください。
インドではクミンとのブレンドの「ダナジラ」というミックススパイスが大変人気ですので、インド食材店などで探してお使いになってみてください。肉でも魚でも合いますし、すぐにエスニックな風味にすることができますのでお勧めです。

最後に

今回ご紹介したコリアンダー。いかがでしたでしょうか。
世界中で使われているのですが、地域によって使う部位が異なったりと他には中々ない面白いスパイスですよね。パクチーの香りはどうも苦手..なんて方にも種子の方でしたらマイルドな香りを楽しんでいただけると思うので、是非、試してみて下さい。

次回は貴重なスパイス「オールスパイス」です。
楽しみにお待ちください。