スパイス・ハーブの薬膳効果 シナモン編

世界4大スパイス④ シナモン

シナモンは心地よい甘さと木のような強烈な香りが特徴です。
雨期になると新芽を出していない木を選び若枝を付け根から切って紙のように薄く樹皮を剥きます。それを手で巻き乾燥して作られます。

シナモンの歴史

今回は、世界4大スパイス最後の1つシナモンのご紹介です。
セイロン、カシア、ニッキなど、似たようなスパイスがありますが、厳密に本物のシナモンといえるのはスリランカ原産のセイロンシナモンだけなんです。
紀元前3000年代頃からエジプトではミイラの保存に使われていました。また、古代ローマでは金より値打ちのあるものとして取引されていたのだとか。
その後、大航海時代になると貴重なスパイスをめぐり各地で争いが起きました。そして、200年もの間、多大な利益を生むこの島のシナモンを独占していたのは、最初がポルトガル人、次にオランダ人、最後はイギリス人でした。
18世紀頃にはジャワ島やインドなどでも栽培されるようになりどの国も独占して販売することが出来なくなりました。
現在でもスリランカ産のセイロンシナモンは高級品として売られています。

シナモンの薬膳効果

シナモンには数々の薬膳効果がありますので、いくつかご紹介していきたいと思います。
抗酸化作用
シナモンに含まれるプロアントシアニジンはポリフェノールの中で、もっとも抗酸化作用が強いと言われている抗酸化物質です。クローブなどほかのスパイスとの比較実験ではシナモンが最高の抗酸化作用を示したそうです。糖尿病などの生活習慣病の予防効果が期待できます。
抗炎症効果
炎症は免疫反応の重要な役割ですが、炎症状態が長く続きますと、慢性炎症という状態になり、様々な疾患の原因となります。
シナモンには炎症反応を抑制効果があるフラボノイドがたくさん含まれていますので、天然の抗炎症剤として利用できるのではないかという可能性が指摘されているそうです。
血糖値・コレステロール値改善効果
シナモンには血糖値を下げる効果があることが知られています。研究によって糖尿病への効果も期待されています。また、シナモンにはHDLコレステロールはそのままにLDLコレステロールのレベルを下げる効果もあるそうです。

このようにシナモンの薬膳効果は注目されるものが多数ありますが、副作用があるか心配な方もいらっしゃいますよね。
シナモンにはクマリンと呼ばれる化学物質が含まれているのですが、大量に摂取してしまうと肝機能に影響があると言われています。ただし、カシアとは違いセイロンには微量しか含まれておりませんので、通常に使用する分には健康被害は気にしなくても大丈夫みたいです。

シナモンの調理方法・保存方法etc.

繊細な香りは、いろいろな種類のデザートやスパイスの効いたパン、などとの相性が抜群です。
その他にも、チョコレートや果物なんかにもとても良く合います。皆さんもご存じのアップルパイなんかは代表的ですね。
中東では、肉や野菜の料理にも使われ、羊肉を使ったシチューなどには必ずと言っていいほど使われています。
インドでは多くのマサラやミックススパイスに入っています。

挽いたシナモンは色々なところで購入できますが、香りが失われやすいので、少量ずつ購入するようにしましょう。
スティックは専門店などで手に入れることができ、密閉容器で保存すれば2~3年は香りを維持できます。

最後に

今回ご紹介した、世界4大スパイスシリーズ最後の1つ「シナモン」いかがでしたでしょうか。
現在、シナモンとして流通している、中国等で生産されているシナニッケイ・日本産のニッケイで作られるニッキ。似ている部分も多いのですが、シナモンの成分に決定的な違いがあるんです。独特の香り成分であるオイゲノールは、セイロンシナモンにしか含まれていません。
それぞれに良いところもあるのですが、ぜひ本物の香りや風味を味わいたいのでしたら、セイロンシナモンをお使いになってみてください。

次回は日本の食卓でもお馴染みの「生姜」のご紹介です。楽しみにお待ちください。