スパイス・ハーブの薬膳効果 オールスパイス編

3種の香りを持つスパイス オールスパイス

オールスパイスは心地よい温かみのある香りを放ちます。ピリッとした化合物に似た刺激的な風味も併せ持っています。香りのほとんどは種ではなく殻に含まれます。
ふっくらとした実がまだ緑色のうちに手で摘み取り、数日間水分を蒸発させた後、黒いコンクリートの台の上で最長1週間乾燥させると実は赤茶色に変わります。

オールスパイスの歴史

オールスパイスは、スパイスとしては比較的新しいものです。ヨーロッパなどに広まったのは、大航海時代に冒険家のコロンブスがカリブ海の島々に生育しているのを発見したからだと伝えられています。彼に同行していた医師のディエゴがコショウと呼んだため、オールスパイスのスペイン語名はピミエンタ(コショウという意味)となったそうです。しばらくの間はオールスパイスとコショウの区別がつかなかったなんて話が残っているようです。
昔も今もジャマイカ産が最高品質であるため、その名はのちにジャマイカペッパーと変更されました。
現在、オールスパイスと呼ばれているのはイギリスの植物学者であるジョン・レイが命名したとされています。クローブ・シナモン・ナツメグの香味を併せ持ったスパイスという意味から名付けられたと言われています。
もともと自生していた地域では古くから防腐剤や調味料として使われており、有名なところですと、マヤ文明の頃には王の遺体に詰める防腐剤として使われていたという説も。

オールスパイスの薬膳効果

オールスパイスにはいくつもの薬膳効果がありますのでいくつかご紹介していきます。
抗菌作用
オールスパイスの香りのもとになる成分にオイゲノールがあります。クローブやシナモン、バナナなどにも含まれています。
オイゲノールには強い抗菌作用があり、これがマヤ文明時代に防腐剤として利用されていた理由です。料理に入れることでも保存食としての効果を発揮してきました。
抗炎症作用
先ほどのオイゲノールには抗炎症作用もあると考えられています。また、シネオールという成分も含まれていて、こちらも抗炎症作用があると考えられています。
喘息や気管支炎などの呼吸器系の炎症疾患やアレルギー治療研究も多く進められており、抗炎症・アレルギー効果があると報告されている成分です。ただ、料理に入れるオールスパイスの量では、シネオールの医学的な効果は見込めないのですが、香りによるリラックス効果や、体内の炎症に対する効果が期待されます。
消化促進
シネオールには脂肪の消化吸収を助ける胆汁の分泌を促進させる効果が、オイゲノールには胃腸を整える効果が期待でき、消化器系の不調の際に役立ちます。

オールスパイスには特に大きな副作用は確認されていませんが、何事も摂りすぎはよくありません。少しずつ継続して摂取することが大事ですのでくれぐれも大量に摂取しないように気をつけましょう。

オールスパイスの調理方法・保存方法etc.

コロンブスがアメリカ大陸を発見するかなり前から、カリブ海の島々の住民は肉や魚の保存にオールスパイスを使っていました。スペイン人たちは彼らから学びエスカベッシュなどのマリネ液にオールスパイスを使いました。
ジャマイカには、ジャークシーズニングペーストという辛いスパイスミックスがありますが、オールスパイスは今でも、その主材料として重要な存在です。これを肉や魚介類にすり込んで焼いたものが名物料理になっています。
ヨーロッパではピクルスやマルド用のスパイスとして活躍しています。

現在でもほぼ例外なくジャマイカから輸入される貴重なスパイスですが香りも程よくいろいろな料理に使えるスパイスですので、是非お試しください。

最後に

今回ご紹介したオールスパイスいかがでしたでしょうか。まるでミックススパイスのような名前なので勘違いされていた方もいらっしゃるかと思います。ホールのまま購入されても、凄く挽きやすい使い勝手の良いスパイスです。

是非、香りが長持ちするホールで使ってみたください。

次回はフェヌグリーク。コリアンダーの様に種子も葉も使うスパイスです。
楽しみにお待ちください。