当店の薬膳カレーを構成する14種類のスパイスに秘められた「力」をご紹介していきます。
今回は、クローブ【丁子(ちょうじ)】です。
甘く、特徴的な香りをもつクローブ。甘い料理でも辛い料理でも相性が良いと言われています。
肉の臭みを取ったり、焼き菓子に使われる他、歯痛や居所麻酔などに利用され、「歯医者さんのハーブ」とも呼ばれます。
クローブの歴史
クローブは紀元前から各地で利用されてきたようで、インドの古代医術アーユルヴェーダでも消化器官の治療に使われていました。
ヨーロッパにも2世紀頃には伝わり始め、6世紀頃には貴族たちの間でも広まっていたたようです。
日本の正倉院の帳外品のリストにも丁香(クローブ)の名が載っていますが、仏教と深く関わっていることから、やはり料理用ではなく、お香や邪気払いとして使われたのではないかと推測されます。
その後、クローブのスパイスとしての価値は大航海時代に飛躍的に高まります。16世紀には長らく不明とされていた原産地を特定したポルトガル人によって、クローブ取引は管理されていました。
17世紀に入るとクローブの生産管理はオランダ人の手に移り、18世紀の終わり頃にフランスがモーリシャスなどでクローブ栽培を盛んに行うようになって、各地で大農園が開かれました。現在でも、モルッカ諸島のあるインドネシアがクローブの最大生産国です。
クローブの効能
【鎮痛効果】
クローブには強い鎮痛効果と抗菌効果があり、歯痛や歯肉炎を鎮めてくれます。歯科でも歯痛や居所麻酔などに利用され、「歯医者さんのハーブ」とも呼ばれます。
2世紀末の後漢時代の中国で、応劭(おうしょう)が書いた「漢官儀」という書物に、当時の尚書郎(役人)が皇帝に話をする際に、鶏舌香(クローブのこと)を口に含んで口臭を消していたという記録が残っています。
【胃腸機能の改善】
胃腸を温める効能があるので、冷えが原因の胃腸トラブルや食中毒や下痢、消化不良などの症状、胃腸の不調が原因の口臭改善、腸内の寄生虫の除去にも効果があり、胃腸薬などの医薬品の原料としても使用されています。冷えから起こる関節炎やリウマチの改善にも役立ちます。
【抗酸化作用】
抗酸化物質といえばポピュラーなのがポリフェノールですよね。クローブにはポリフェノールはもちろんオイゲノールやケンペロールといった数種類の抗酸化物質が含まれています。特にオイゲノールは抗酸化作用に優れ、老化を防止し動脈硬化を防ぎます。特に、スパイスの中でもクローブが最も抗酸化力が高いとされているので、何かと日頃から料理に使用するとアンチエイジングに有効です。
さらに、クローブは気分が落ちている時に気持ちを高めて明るくする、高まり過ぎた興奮を鎮めるといったメンタルへの作用もあるそうで、行動力と力を与えてくれたり、心を安定させて活動的にする、記憶力を高めるなどの効能もあるそうです。
日常の生活にスパイスをうまく取り入れて、健康的な体を維持しましょう。