スパイス・ハーブの薬膳効果 チリ編

チリは、マイルドで軽いヒリヒリ感があるものから、爆発的に辛いものまで味には幅があります。大きく皮の厚い品種は、小さく皮が薄いものよりマイルドな傾向があります。
ほとんどのチリは一年生植物として栽培されます。グリーチリですと、3か月ほどで収穫可能になります。熟してから使われる品種は収穫までに時間がかかります。天日干しのほか人工的に乾燥させる場合もあります。

チリの歴史

チリの歴史はたいへん古く南米ペルーの山岳地帯では、紀元前8000年頃から栽培されていたと考えられています。メキシコでも紀元前7000年頃には利用されていました。
何千年もの間この地域で栽培されてきたチリが世界に広まっていくきっかけになったのは、大航海時代のコロンブスなのです。
タバコや、トウモロコシなどと一緒にスペインに持ち帰られたチリ。その辛味からピメント(コショウ)と名づけられました。これが、チリの実がコショウとは全く関係ないのにカイエンヌペッパーなどと呼ばれるようになった理由なのです。
日本には16世紀にポルトガル人によって伝えられたそうです。
現在チリは最大のスパイス作物で、数百もの種類が世界中で栽培され、世界人口の約4分の1の人々によって毎日食べられています。

チリの薬膳効果

世界で最も食されているスパイスと言われているチリ。
このチリにも様々な薬膳効果が期待できますので、いくつかご紹介していきます。
生活習慣病の予防
チリに含まれるカプサイシンには体内のコレステロールや老廃物の排出を促進させる働きが見込まれており、生活習慣病の予防に効果が期待できます。また、βカロテンやビタミンEも含まれ、これらは動脈硬化や心筋梗塞などの予防になると考えられています。
美肌効果 

カプサイシンには発汗作用があり、汗をかくと水分だけでなく油分も排出されて皮脂の分泌が調整されます。
また、ビタミンA、C、Eが含まれているのですが、これらには皮膚の老化を抑える抗酸化作用への期待が高いです。
脂肪燃焼効果 
カプサイシンの効果として有名なのは脂肪燃焼効果だと思います。人の体は、運動するとまずは糖分をエネルギーとして使い、そのあとに脂肪をエネルギーとして使います。そのため、長時間体を動かさないとなかなか脂肪が燃焼されません。しかしカプサイシンはアドレナリンの分泌を促して脂肪燃焼を早める効果があると言われています。早い段階から脂肪を燃焼させるアドレナリンの分泌を助けることで、体脂肪の蓄積を防止する効果も期待できます。

ご紹介してきたように、チリには多くの薬膳効果があるのですが、食べ過ぎには注意してください。
食べ過ぎてしまうと、胃腸の荒れ、咳や息切れ、下痢や排尿障害などの症状が出ることがありますので、一日の摂取量を守って健康な体作りにお役立てください。
(許容摂取量)体重1kgに対して5mg 例.体重50kgの人は250mg
鷹の爪一本あたりのカプサイシンが約1mg

チリの調理方法・保存方法etc.

チリはビタミンAやCの優れた供給源で、いつもの食事にひと味加える手軽な方法として使われてきました。
チリの原産地はもちろんアジア、アフリカやアメリカ南西部で広く使われています。中でもインドはフレッシュな緑色のチリや乾燥した赤いチリの最大の原産国&消費国です。
チリは世界中で色々な製品が生産されています。チリパウダーやチリオイル、チリソースなど様々な種類でその国の料理に合った形で愛用されています。

フレッシュなチリは光沢があってなめらかな皮を持ち、固い手ざわりのものを選びましょう。冷蔵庫の野菜室で1週間以上保存できます。冷凍保存もできるのですが、生のまま冷凍してしまうと、ピリッとした辛さが無くなってしまいますので、ローストしてから冷凍することをおすすめします。
乾燥したチリは密閉容器でほとんど無期限で保存できます。

最後に

今回ご紹介したチリいかがでしたでしょうか。
世界最大のスパイス作物ということもあり、その品種は数えきれないほどあるそうです。お買い求めになるときは売り場に入り専門家に教えてもらってみてください。
原産国や、種類、辛さのレベルや香りの特徴など、本当に様々ですので、少しずつ試していただくと面白いかと思います。
次回はターメリックです。楽しみにお待ちください。