スパイス・ハーブの薬膳効果 ガーリック編

ガーリックは生の物も乾燥した物も刺激が強くヒリヒリするような辛みがあります。
切るとアリシンという成分が生じて、これが口臭の原因になります。加熱することでアリシンが分解されますが、若干臭いの少ない成分を作ります。
最近では無臭ニンニクなども売られていますが、形が似ているだけで「ジャンボリーキ」というネギの一種になります。

ガーリックの歴史

ガーリックの歴史は古く、初めて人類の歴史に登場したのは紀元前3,750年前。そのころ造られたとされる古代エジプト王の墓から模型が発見されたのです。また、かの有名なエジプトの王ツタンカーメンの墓からも乾燥したガーリックが見つかっています。
ピラミッド建設に従事した労働者たちは大量のガーリック、玉ねぎ、ラディッシュを食し、この三品を購入するために多額の銀貨が支払われていたんだそうです。このころからスタミナ食として食べられていたんですね!
古代エジプトから、古代ローマやインドに広がり、さらに中国へと渡りそこから日本へと伝わってきました。
日本に伝わったのは奈良時代で、「本草仮名」には日本最古のガーリックの栽培に関する記述があります。そのころの日本人には臭いが嗜好に合わず、食用ではなく薬用として食べられていたそうです。

ガーリックの薬膳効果

ガーリックには様々な薬膳効果がありますので、いくつかご紹介していきます。
疲労回復
ガーリックと言えば疲労回復・滋養強壮のイメージを持つ人も多いと思います。
疲労回復に欠かせないビタミンB1。糖質の代謝に必要な酵素の働きを助けてエネルギーを生み出すので「疲労回復のビタミン」と呼ばれています。
水溶性ビタミンは体にためておくことが出来ないので、必要以上に摂取した分は尿などから体外に排出されます。
ところが、ガーリックに含まれる成分「アリシン」がビタミンB1と結びつくと、脂溶性のアリチアミンという物質に変わるのですが、このアリチアミンは体内でビタミンB1と同様の働きをしながら吸収率はアップするという優れものなんです。
血行促進
ガーリックの主成分アリシンには、血管を拡張し血行を促進する働きがあります。また、ガーリックに豊富に含まれているビタミンEも抹消血管を拡張する働きがあります。毎日の食卓に取り入れることで、血の巡りが良くなり、手足の冷えを緩和する効果が期待できます。
アリシンは加熱すると、硫黄化合物に変化し血液サラサラ効果をもたらすとされます。
冷え解消
冷えの原因として血行不良があげられるのですが、ガーリックを摂ることで血液がサラサラになると、手足の末端までしっかりと血液がいき渡ります。すると、結果的に血行が促進され冷えの解消に繋がることが期待できます。
免疫力アップ
先ほどから登場しているアリシン。強い殺菌効果もあるんです。ウイルスや細菌から体を守り、風邪をはじめとする病気の予防などにも効果的とされていることから免疫力アップにも役立ちます。

様々な薬膳効果があるガーリックですが、もちろんデメリットもあります。
食べ過ぎてしまうと、腹痛・めまい・貧血・嘔吐などの症状を引き起こすことがあります。これは、食べ過ぎにより血中のヘモグロビンが減少してしまうことで起きてしまう症状なのです。
くれぐれも適量を守って健康な身体づくりに役立ててください
(目安量)一日当たり、生で1片、加熱したものなら4片くらいと言われています。

ガーリックの調理方法・保存方法etc.

ガーリックは、様々な食べ物の風味を高める使い勝手のいい食材です。
丸ごと加熱すると、まろやかなナッツのような香りになり、切ったガーリックはもっと刺激が強く加熱しても変わりません。ただ、焦がすのだけはNGです。苦く酸っぱい味になってしまいます。
ヨーロッパでは、鶏肉や子羊と一緒にローストしたり、ワインで煮込んだり、ピューレや湯通し、ソテーなど幅広く使います。
アジアでは、一人当たりの消費量がずば抜けて高く、ショウガやチリなどと一緒に使われ、炒め物やカレーペースト、サンバルに使われます。
韓国やロシアでは、オイルやビネガーに漬けてピクルスにして食されたりします。

最後に

今回ご紹介したガーリック。遠い昔から薬として使われてきたのですが、現在では堺世界各国で色々な調理に使われるようになりました。なじみの深いスパイスですが、歴史などを調べたりすると面白いですね。

次回ご紹介するのはチリ。こちらも何千年も前からあるスパイスです。
楽しみにお待ちください