当店の薬膳カレーを構成する14種類のスパイスに秘められた「力」をご紹介していきます。
今回は、コリアンダー【香菜(しゃんつぁい)】です。
コリアンダーは、食用としては「葉」の部分と乾燥させた「種子」の両方を指します。
「葉」の部分は、「パクチー」とも言われ、タイ料理で欠かせないハーブとして日本でも馴染みあるものになってきていますね。
「種子」の部分は「コリアンダーシード」と呼ばれ実はカレーに欠かせないスパイスの一つなのです。
コリアンダーの歴史
コリアンダーは少なくとも2000年以上前にはすでに利用されていたといわれており、紀元前16世紀の医術書である「エーベルス・パピルス」のほかに、聖書にもコリアンダーが記載されています。
ギリシャ時代に、医学の父といわれたヒポクラテスが、コリアンダーに健胃作用や催眠作用があるとして用いていたことから、ヨーロッパ中に広まったといわれています。
また、ヨーロッパの他に、南米、インド、中国でも、古くからコリアンダーは食用・薬用の両方で用いられていました。
その他、中近東地方の物語集である「千夜一夜物語」の中でもコリアンダーが媚薬として用いられていたという記載があるほか、17世紀にはフランスでコリアンダーが化粧水の成分として利用されていたという歴史があります。
日本では927年に書かれた書物「延喜式」に「胡づい」という名で記載されており、中国から伝えられたようです。しかし、このときは定着しませんでした。
その後、江戸時代になってポルトガル人から再び伝えられ、これ以降は薬として使われるようになったそうです。
コリアンダーの効能
【種子は消化器系の改善】
コリアンダーシードは消化器に働きかけ、胃腸の健康を保つ効果が期待できます。
また、消化を促進したり、腸内のガスを出させる駆風(くふう)剤の役割を果たすほか、食欲不振にも効果があるといわれています。
【葉はデトックスと美容効果】
コリアンダーの葉(パクチー)には、豊富なビタミン類が含まれています。
疲労物質である乳酸を分解し疲労を回復するビタミンB1。皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンB2。コラーゲンの生成を助けたり、病気に対する抵抗力を強めるビタミンC。抗酸化のビタミンと言われ、身体の酸化を防いでくれるビタミンE。
さらに、体内でビタミンAに変化し、強い抗酸化力があるβカロチンも豊富に含まれています。その含有量は、緑黄色野菜の代表ともいえるほうれん草やかぼちゃとほぼ同じです。
ミネラル類は、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、カリウムなど。
そして、パクチーの香り成分である、リナロール、グラニオールという成分は胃腸などの消化器系に働きかけてくれます。
また、パクチーにはデトックス効果があることも認められており、パクチーのキレート作用は驚くべきもので、重金属など体内の有害物資を身体の外に排出してくれる機能が認められています。
有害物質の重金属とは、水銀、ヒ素、鉛、カドニウムなどですが、なんと放射性物質まで排出してくれるそうです。
体内に有害物質を溜め込んでおくと、血行やリンパの流れが滞りを起こし新陳代謝が悪くなったり、毒素の影響で疲労感やだるさを感じたりします。
美容方面では、肌荒れをを引き起こしたり艶がなくなりくすみが出てきてしまいますので、パクチーのデトックス力は美容にとって非常に重要な働きを果たしています。
更に、パクチーに含まれるβカロチンには強力な抗酸化力があり、そのパワーは大豆の10倍。
しっかりと活性酸素を除去し、シミやシワなどの肌の老化を阻止してくれる秀逸なアンチエイジング食材なのです。
それだけではなく、健康面では、ガンや動脈硬化、糖尿病などの厄介な病気からの防御力も向上します。
いつまでも若々しく健康でいるために避けては通れない抗酸化対策として、パクチーを摂り入れることは非常に効果的なのです。
美味しい薬膳カレーを食べて、コリアンダー(パクチー)をたっぷり摂取して、美容と健康を手に入れてください!