スパイス・ハーブの薬膳効果

スパイス・ハーブの薬膳効果

当店の薬膳カレーや料理に使用しているスパイス・ハーブの薬膳効果についてご紹介していきたいと思います!
その前に、そもそもスパイスとハーブの違いって何なの?という方がいらっしゃると思いますので、そちらの説明をさせていただきます。
※日本ではスパイスとハーブの違いについて厳密な定義があるわけではないので、豆知識くらいで覚えていただけたらと思います。

スパイスとは何か?

植物の果実・花・葉・根などを乾燥して作られる香辛料で、料理に風味を付加するために用いられるものです。
肉などの臭みを消して旨味を増すとともに防腐効果もあることから、古くから珍重されてきました。主なものには、胡椒・ナツメグ・シナモン・クローブなどがあります。
また、薬味として、日本では古くから香りの高い野菜や茎菜・根菜などを用いてきました。わさび・生姜・ねぎ・山椒・紫蘇など香りづけの目的で使われているものもスパイスです。
昔と違い生のまま手に入ることが増えたため、現在では乾燥したものでも、生のものでもスパイスと呼ばれています。

ハーブとは何か?

薬草を意味するヘルバ(herba)というラテン語が語源だそうです。
薬草や香草などと訳され、香りのほかに、健康に有用な効果のある成分を含む植物と認識されています。もともと薬草であるため、香りのよくないものや食べれないものも存在します。
もともとヨーロッパでは伝承医療で使われてきた草木です。香りに鎮静・興奮などの作用がある有用植物で、料理の香りづけや保存料、薬、香料、防虫などに利用されています。ただし、なかには毒を持っていたり、効果が強すぎて毒になったりするものもあるようです。ちなみに、日本ではハーブは薬とは認められていませんのでご注意ください。

スパイスとハーブの違いとは?

植物学的には、茎と葉と花を利用するものをハーブ、樹皮や種子、実、根などを使うものをスパイスと区分する説もあるのですが、実際に分類するのはとても難しいのです。
例えばですが、クローブは花のつぼみを使うのですが、ハーブと言われませんよね?
ヨーロッパでは、自家栽培できるかどうかで判断しているところもあります。
国によって判断基準がが様々なのです。

現在、世界中で使われているスパイス・ハーブの種類は500種類くらいあると言われています。
全部をご紹介するわけにはいきませんが、冒頭でもお話ししたように、当店で使用しているスパイス・ハーブを、週に一度くらいのペースで順次ご紹介していきますので、興味のある方は、ぜひ目を通していただければ幸いです。
まずは、世界4大スパイスと言われる胡椒・ナツメグ・クローブ・シナモンあたりからご紹介していきますので楽しみにお待ちください。

世界4大スパイス ①胡椒

ブラックペッパーは温かみがあって、木やレモンのような香りと鼻にツンとくる香りが複雑にからみあっています。

ブラックペッパーを生産するには、未熟なグリーンペッパーを収穫して、短期間発酵させてから乾燥させます。
実のしわはこの時にできるんです。
最も品質の良いコショウはインド南西部・ケララ州にあるマラバール海岸のワイナード区産の物と言われています。

胡椒の歴史

原産地はインドです。
古くからインドの主要な輸出品であり、世界各地との交易に用いられていました。
インドのコショウの実やロングペッパーは、少なくとも3000年前にヨーロッパにもたらされました。その貿易路はとても重要だったために、各国で貿易路をめぐり争いが絶え間なく続きました。
原産地のインドから何人もの商人の手を経てヨーロッパにたどり着いたころには、銀貨一枚とコショウ一粒が同じ価値として扱われるまでに貴重なものとなっていたんだとか。
日本でも奈良時代ごろにはコショウが伝来しており、生薬として用いられていました。平安時代になると、調味料として使われだしたそうです。
唐辛子が輸入されるまでの間、うどんなどにも用いられていました。
世界各地で栽培されていますが、現在ではベトナムやインドネシアがインドの生産量を上回っているようです。

胡椒の薬膳効果

昔から薬として使われてきたコショウ。
様々なよい効果があるようで、そちらをいくつかご紹介していきます。
①発汗作用
コショウに含まれているピペリンには、交感神経を刺激して血管を広げ血流を良くする働きがあります。発汗作用やエネルギー代謝効率の向上にもつながります。また、鉄分も含まれているので、貧血や冷え性にも効果があるそうです。
②殺菌作用
ピペリンという成分の効果に殺菌効果があります。昔は冷蔵技術が発達していなかったので、食べ物を長持ちさせるために殺菌・防腐剤として重宝されていたそうです。ピペリンの殺菌作用は体内からも細菌を排出する働きがあることもわかっています。ピペリンには、脳内物質であるセロトニンやエンドルフィンを増やす効果もあり、ストレスを緩和させ落ち着いた気持にさせてくれます。
また、ピペリンにはもう一つ大きな作用がありまして、それは消化機能の向上や食欲増進なんです。消化機能が高まると、摂取した栄養を効率的に吸収することができます。栄養の吸収率が上がると、栄養素自体がもつ効能も高まるので、より健康効果に期待できるのです。
ダイエット効果
ピペリンの血行改善の効能は、代謝効率の向上につながるため、体内の脂肪が燃焼されやすい状態になります。脂肪の蓄積を抑える効果があるので、ダイエットに効果的な成分といえます。
更にピペリンには抗酸化作用もありますので、肌の老化を防ぎ、酸化を抑えてくれるのでアンチエイジングにも効果的と言えます。

このように、メリットだらけのコショウの薬膳効果ですが、過剰に摂取してしまうと腹痛がおきるなどのデメリットもございます。一日の摂取目安は小さじ一杯ほどとされていますので、くれぐれも摂りすぎには気をつけましょう!

世界4大スパイス ②ナツメグ

ナツメグは芳酵でフレッシュな温かみのある香りが特徴です。
クローブのような風味に加え、より深くほろ苦い風味をあわせもっています。

実が熟すと収穫し、外側の皮、果肉、種衣(メース)を取り除きます。残った種を乾燥させ殻を割り取り出したものがナツメグとなります。

ナツメグの歴史

スパイスアイランドと呼ばれるインドネシアのモルッカ諸島にあるバンダ島原産の常緑樹の実からとれるスパイスです。この実からは二つのスパイスがとれるのですが、今回はナツメグご紹介です。
ナツメグをヨーロッパに持ち込んだのは冒険家のマゼランと言われています。世界周遊の大航海中だったマゼラン率いる船団が上で紹介したモルッカ諸島に到着しました。(実はこの時マゼランは途中で戦死しています)ここでたくさんのスパイスを船に積んでスペイン王のもとに届けたのが最初なんだそうです。
その時代はスパイスにものすごい価値がありましたので、莫大な利益を生み出したんだとか…
現在でも、インドネシアが生産国1位です。2位がグレナダで、この二つでほとんどのシェアを占めています。

ナツメグの薬膳効果

ナツメグには様々な効能がありますので。いくつかご紹介させていただきます。
不眠症改善
ナツメグは、眠りを促進するために重要な役割をもつセロトニンという物質の生産を増やす効果があります。また、酵素の分泌を抑えるミリスチシンという成分が含まれているので、より眠りを促進しやすいのです。
消化促進
ミリスチシンは腸の調子を整えます。また、胃の調子を整える効果があるピネンという成分も豊富に含まれています。
ピネンが胃の粘膜を保護しながら消化をサポートし、ミリスチシンが腸内にたまったガスや老廃物をお願い致します。排出するサポートをすることで便秘や下痢の改善にさようして、腸内環境を整えるのだそうです。
食欲増進
先ほど紹介したミリスチシンは、整腸作用だけではなく、夏バテなどで体調がすぐれないときなどに効果を発揮して、食欲を増進させると言われています。
鎮痛効果
中国では古来より鎮痛剤として用いられていました。ナツメグに含まれるオイゲノールという成分には鎮痛作用があり、関節や肌肉の痛み・歯痛などの炎症による痛み・腹痛などにも効果があるそうです。

ここまでメリットばかりをご紹介してきましたが、もちろん摂りすぎるとデメリットもあります。
料理に少量使用する程度なら問題ないのですが、間違って大量摂取してしまうと、幻覚作用・頭痛・吐き気・痙攣・めまいなどの中毒症状を引き起こす危険性があると言われています。
また、昔は堕胎薬として使われていたということもあるので、妊娠中の方は量にかかわらず、避けることをおすすめいたします。
デメリットについて聞くとちょっと怖いかもしれませんが、摂取量さえ守っていれば嬉しい効果がたくさんありますので、ぜひ上手に活用してください。

ナツメグの調理方法・保存方法etc.

中東では古くから羊料理に使われていました。アフリカではミックススパイスに使用されています。
ヨーロッパでは、もっと日常的に甘い料理にも使用します。ケーキをはじめ、フルーツのデザートにも使われています。その他にはシチューや卵料理、チーズ料理なんかにも良く合います。

ナツメグは、丸のまま密閉容器に入れれば、ほぼ無期限に保存できます。ただし、粉末にしてしまうと香りがすぐになくなってしまいます。
なのでお手間だとは思いますが、是非、丸のままお買い求めいただき、使う分だけを挽いたりおろしたりしてお使いください。

世界4大スパイス ③クローブ

クローブはコショウとカンファーに似た香りがあり、温かみを感じられます。味はフルーティーなのですが口に入れると、しびれるような感覚があります。
クローブの蕾は年二回小さな房で顔を出します。開花前には摘み取られ天日干しにされます。

クローブの歴史

ナツメグの回にも登場したスパイスアイランド・モルッカ諸島原産の常緑低木の蕾を乾燥させたもので、紀元前から各地で利用されていたようで、インド古代医術アーユルヴェーダでも使われていました。
ヨーロッパにも2世紀頃には伝わり始めたのですが、価値としては、大航海時代に飛躍的にたかまったそうです。
それまで、生産地がよくわからなかったらしいのですが、ポルトガル人によって特定され管理されていたようです。
その後生産管理はオランダの手に移り、18世紀になるとフランスの手によって各地で大農園が開かれるようになったそうです。
当時のスパイスは、各国が奪い合い、競い合って生産するほど効果で貴重なものだったのですね。

クローブの薬膳効果

クローブには様々な薬膳効果がありますので、いくつかご紹介していきます。
抗酸化作用
クローブに含まれるオイゲノールという成分には、抗酸化作用があることが確認されています。活性酸素を取り除き、効力を失わせたりします。
活性酸素自体は、ウイルスを攻撃したりといった効果もあるのですが、増えすぎてしまうと細胞自身にも攻撃してしまい、細部本来の機能が失われてしまい生活習慣病につながると言われています。
消化促進
クローブには消化機能を促進する作用があります。アーユルヴェーダでは身体を温める効果があるとして使われておりますし、漢方でも身体の中を温め、気を下す働きがあるとされ冷えが原因の腹痛や、食欲増進などに用いられています。
③鎮痛・抗菌効果
クローブには強力な心痛効果と抗菌作用があります。そのため、局所麻酔にも用いられるなど医学的にも重宝されています
また、虫歯からくる歯痛は本当に耐えがたいものですが、そんなときもクローブがその痛みを和らげてくれるともいわれています。

このほかにも様々な薬膳効果が期待できるクローブ。薬なんかにも使われるなんて言うと副作用があるのでは?なんて心配なさる方がいらっしゃるかと思いますが、ご安心ください!クローブには副作用らしい副作用はありません。
ただし、クローブは非常に強い効果があるスパイスです。使いすぎると目的以上の働きをすることも考えれるので、くれぐれも食べ過ぎにはお気をつけください。

クローブの調理方法・保存方法etc.

クローブは世界中のさまざまな料理に使われていて、その中でも甘いデザートや、辛口の料理に特に合います。
焼き菓子やジャムなどには、ほとんどの地域で使われていると言われています。
また、当店でも使用しておりますが、ヨーロッパではピクルスのスパイスとしてもよく使われていますし玉ねぎの中に丸ごと差し込んで、シチューの香りつけなんかにも使われます
アジアの大半ではカレーパウダーの中に必ずと言っていいほど使われていて、インドのガラムマサラにも欠かせない存在です。

密閉した瓶などでは一年ほど保存可能です。引き立てが一番香りが良いのですが、クローブはとても固いので電動のグラインダーなどでないと大変です。
粉末で購入される場合は、なるべく濃い色のものがおすすめです。色の薄いものですと、揮発性オイルが少ない茎の部分を使用している可能性が高いです。

世界4大スパイス ④シナモン

シナモンは心地よい甘さと木のような強烈な香りが特徴です。
雨期になると新芽を出していない木を選び若枝を付け根から切って紙のように薄く樹皮を剥きます。それを手で巻き乾燥して作られます。

シナモンの歴史

今回は、世界4大スパイス最後の1つシナモンのご紹介です。
セイロン、カシア、ニッキなど、似たようなスパイスがありますが、厳密に本物のシナモンといえるのはスリランカ原産のセイロンシナモンだけなんです。
紀元前3000年代頃からエジプトではミイラの保存に使われていました。また、古代ローマでは金より値打ちのあるものとして取引されていたのだとか。
その後、大航海時代になると貴重なスパイスをめぐり各地で争いが起きました。そして、200年もの間、多大な利益を生むこの島のシナモンを独占していたのは、最初がポルトガル人、次にオランダ人、最後はイギリス人でした。
18世紀頃にはジャワ島やインドなどでも栽培されるようになりどの国も独占して販売することが出来なくなりました。
現在でもスリランカ産のセイロンシナモンは高級品として売られています。

シナモンの薬膳効果

シナモンには数々の薬膳効果がありますので、いくつかご紹介していきたいと思います。
抗酸化作用
シナモンに含まれるプロアントシアニジンはポリフェノールの中で、もっとも抗酸化作用が強いと言われている抗酸化物質です。クローブなどほかのスパイスとの比較実験ではシナモンが最高の抗酸化作用を示したそうです。糖尿病などの生活習慣病の予防効果が期待できます。
抗炎症効果
炎症は免疫反応の重要な役割ですが、炎症状態が長く続きますと、慢性炎症という状態になり、様々な疾患の原因となります。
シナモンには炎症反応を抑制効果があるフラボノイドがたくさん含まれていますので、天然の抗炎症剤として利用できるのではないかという可能性が指摘されているそうです。
血糖値・コレステロール値改善効果
シナモンには血糖値を下げる効果があることが知られています。研究によって糖尿病への効果も期待されています。また、シナモンにはHDLコレステロールはそのままにLDLコレステロールのレベルを下げる効果もあるそうです。

このようにシナモンの薬膳効果は注目されるものが多数ありますが、副作用があるか心配な方もいらっしゃいますよね。
シナモンにはクマリンと呼ばれる化学物質が含まれているのですが、大量に摂取してしまうと肝機能に影響があると言われています。ただし、カシアとは違いセイロンには微量しか含まれておりませんので、通常に使用する分には健康被害は気にしなくても大丈夫みたいです。

シナモンの調理方法・保存方法etc.

繊細な香りは、いろいろな種類のデザートやスパイスの効いたパン、などとの相性が抜群です。
その他にも、チョコレートや果物なんかにもとても良く合います。皆さんもご存じのアップルパイなんかは代表的ですね。
中東では、肉や野菜の料理にも使われ、羊肉を使ったシチューなどには必ずと言っていいほど使われています。
インドでは多くのマサラやミックススパイスに入っています。

挽いたシナモンは色々なところで購入できますが、香りが失われやすいので、少量ずつ購入するようにしましょう。
スティックは専門店などで手に入れることができ、密閉容器で保存すれば2~3年は香りを維持できます。